だっこんさんの忘備録

コーヒーを飲みながら思いついたことを書いていきます。整形リハビリ・心理学領域の話題とワイン初心者の拙い感想が主になりそうです。

自律神経のお話

ブログを書く時間とネタがなくて2週間ぶりになってしまいました。まぁのんびり楽しく書くのが目的なのでよしとしましょう。

 

今回のテーマは身体のことを語る上で非常に大切なので、早めに書いておこうと思っていたことです。今まで「聞いたことはあるけどなんかよくわかんない」という人も多いのではないでしょうか。ストレスで体調を崩し、病院で検査しても大した異常はなく「自立神経失調症」と診断された方もいるかもしれませんね。

今回はそんな知ってるような知らないような「自律神経」について、私なりの解釈も交えつつ説明していきたいと思います。

 

自律神経について説明する前に、そもそもの「神経」についてざっと説明します。

 

まず、人間の神経は3種に大別されます。

ひとつめは「運動神経」。脳から身体の末端まで命令が行き渡り、意図した行動を起こす時に使われるものです。手を挙げるとか、目を右に動かすとか。これはわかりやすいですね。

ふたつめが「感覚神経」。今度は逆に身体の末端まで行き渡ったセンサーで捉えた情報を脳へ伝えていく経路になります。指で触れたカップの硬さを感じたり、コーヒーの黒さを目で感じたりといった具合です。これもよくわかるかと思います。

そして、最後のみっつめがいよいよ「自律神経」です。自律神経の「自律」とは、自ら律する…つまりオートで勝手に働くということです。これはちょっとわかりづらいかもしれません。

 

例えば、心臓。

我々が生きていくために、一生休みなく鼓動を打ち続けてくれる働き者ですが、そのテンポは一定ではありません。走れば早く血液を全身に行き渡らせるために元気よくドクドクと動きますし、好きな人に見つめられると早鐘を打つように忙しなくやかましくなります。また、睡眠中や休憩中など、ゆっくりと休んでいるときは止まってしまったのかと錯覚するぐらい静かになったりもします。

例えば、涙。

普段は目を潤す程度に少しずつ出続けていますが、悲しい時や嬉しい時に目から溢れ出す涙を止めることはできませんし、夜更かしをしたり本を読んでいるとドライアイになったりします。

この心臓の鼓動や涙を、自分の意思だけで自在に操れる人はそういないと思います。なかにはできる人もいるかもしれませんが、それは恐らく天才的な役者や人一倍自己コントロールに長けた人かな、と予測します。

 

話が逸れました。つまり自律神経の「自律」というのは、「身体の状態を自動的にモニターし、かつ調整すること」と言えます。お風呂の温度や水位を一定に保ってくれるシステムみたいなものですね。

 

身体には「ホメオスタシス」と言われる、体内環境を一定に保とうとする性質があります。英語で書くとhomeostasis…「同じ」という意味のhomeoと「静止」という意味のstasisを合わせた言葉です。

自律神経の仕事は、この体内環境を保つための監視役兼調整役というわけです。

 

さて、自律神経についてだいたいわかったところで、自律神経をさらに細分化してみようと思います。

例え話の心臓や涙でも出しましたが、自律神経は「調整」が仕事なので、右へ行き過ぎれば左に、上へ行き過ぎれば下に、と生存するために過不足ない、安定した状態を目指します。この時のアクセルがいわゆる「交感神経」、ブレーキが「副交感神経」です。この名前は聞いたことがある人も多いかもしれませんね。

 

交感神経はよく「闘争と逃走の神経」と言われ、能力を引き出す方向に身体を調整します。

目は血走り、息を荒げて、力一杯走り回る…そんな「狩り」を連想するようなイメージでしょうか。

言い変えれば、血圧や血糖値を上げ、酸素濃度を高く保ち、筋肉を緊張させてエネルギーを出し惜しみなく解放する…といった感じ。

 

一方の副交感神経のイメージは、ズバリ「睡眠中」です。深く緩やかな呼吸で、安らかに休息をとっているときは、最も副交感神経優位…つまりブレーキが効いている瞬間と言えるでしょう。

コーヒーの香りを楽しみながらのマッタリブレイクタイムも、目まぐるしい日常から抜け出して心も体もゆったりと落ち着いています。(そう、これを書いている時の私のように。)

そんな時はエネルギーを無駄に放出するのではなく、イザという時のために溜め込んだり、身体を癒すために使っています。

 

このように一見パーフェクトに感じる自律神経の調整能力ですが、当然ながら限界があります。その限界を超えて調整が上手くいかなくなった状態が、「自律神経失調症」というわけです。

過度のストレスで心は一刻も早く逃げ出したい、でも仕事を放り出して帰るわけにはいかない…

眠くて眠くて仕方がない、でもゲームが楽しすぎて寝たくない…

こんな経験は誰にでもあるかと思います。こうした「身体が欲していること」を理性で押さえつけすぎると、身体はアクセルをふかしすぎたり全力でブレーキを踏みまくるわけです。そうして無理を続ければ最後は…もちろんぶっ壊れますよね。

 

というわけで、治療家としての私が患者さんに大切にしてほしいことは、「自分の身体と心が何を欲しているか」に耳を傾けて、「無理」をしていないか気を配ることです。

「理が無い」ことが続くわけないです。早く無理をしている自分に気づき、出来る限り無理をしないことが大切です。

薬やマッサージで一時的に楽になることもあるかもしれません。しかし、それは気休めだと、私は言い切りましょう。無理をやめずに治すことは、それこそ「無理」です。

 

まとめてみます。

・神経を大別すると3種類。運動神経、感覚神経、そして自律神経。

・自律神経とは自ら律する神経、つまりオートで身体のバランスを調整している。

・自律神経をさらに細分化すると、交感神経と副交感神経に分かれる。

・交感神経は「闘争と逃走」の神経。テンションが上がってエネルギーを運動能力に使用するアクセル。

・副交感神経は休息の神経。心を落ち着けてエネルギーを回復に使うブレーキ。

・身体の調整能力には限界がある。無理を続ければ、いずれ壊れる。

 

今回はこんなところかなー。とても大切なことなので、みなさん気をつけてくださいね。

質問や書いてほしいお題の提供もお待ちしております。

 

それでは、また。