だっこんさんの忘備録

コーヒーを飲みながら思いついたことを書いていきます。整形リハビリ・心理学領域の話題とワイン初心者の拙い感想が主になりそうです。

姿勢のお話(筋肉編)

前回の続きになります。サクサクいきましょう。

 

 

姿勢の定義と、良い姿勢を目指すにあたってすべき事が筋力強化というところまでお話しました。そこで、鍛えていく「筋肉」について、ここでいちど説明しておきたいと思います。

 

筋肉、あるいは筋繊維と呼ばれるものは、分子レベルまで細かく分解していくと、最後は名前の通り繊維状の糸のようなものになっていきます。この糸は2種類の組織からなり、それぞれアクチン、ミオシンといいます。ミオシンがエネルギー(ATPといいます)をもらってキュッと縮まるのですが、その時にアクチンというフレームを掴んでいるので、全体的に筋繊維がちぢれ麺のように短くなるというメカニズムです。

 

勘違いされがちですが、この通り筋肉は「縮む」ことしかできません。自ら伸びることはできないのです。伸びたとしてもそれは「縮んだものが元に戻った」もしくは「外力で引き伸ばされた」わけで、自力ではないです。

「じゃあなんで僕の肘は伸びるんだよ!」と疑問が生まれるわけですが、それは筋肉が前と後ろについていて、それぞれ綱引きをしているからです。肘で言えば、「上腕二頭筋」(力こぶの筋肉)と対になる「上腕三頭筋」(二の腕の筋肉)が綱引きをする事で、肘を曲げたり伸ばしたりしているわけですね。このように、筋肉はほとんどが対になっていて、前があれば後ろが、外があれば内があることが多いです。括約筋(輪っか状の筋肉)など、例外もありますが。

 

筋繊維について説明してきましたが、次は視点を筋肉に戻して分類をしていきましょう。筋肉は仕事によって主に2つ(正確には3つ)に分けられます。神経の話でもありましたね。

 

ひとつは速筋、白筋、アウターマッスル等と呼ばれるタイプ。名前の通り身体の表面にあるので、ムキムキモリモリの見た目になりたい人はこちらを鍛える必要があります。
大きくて力強く、パワフルですがすぐ疲れます。イメージとしては、普段じっとしているけど動くと素早い白身魚、ヒラメ。
こちらも大切な筋肉ですが、今回のテーマである姿勢に関しては、主役ではないかも。

 

もうひとつは遅筋・赤筋・インナーマッスルなどと呼ばれるタイプです。筋肉といえば赤いイメージかもしれませんが、それはこちらのタイプになります。

小さくて力は弱く、派手な仕事はできませんが、エネルギー効率が良く持続力に長けた筋肉です。イメージとしては、死ぬまで泳ぎ続ける赤身の回遊魚、マグロですね。

姿勢のことを考えた時に重要になるのはこちらだと一般的に考えられています。最近では体幹インナーマッスルをコアマッスルと呼ぶこともあるようです。

 

いちおう、番外編に心筋というカテゴリもあります。名前の通り心臓の筋肉なのですが、心臓は一生止まることなく動くという特性を考えると遅筋かな?と思いますが、パワフルさも求められるので速筋かも…となります。

答えは中間、合いの子です。遅筋と速筋をどちらもある程度混ぜ合わせることで、ある程度どちらの特性も持っているわけです。心臓の特殊なところです。そもそも心臓って分類的にはデカい血管だし。変わってるなぁ。

 

っと、語弊がありました。心筋以外も純粋な遅筋、速筋というものは(多分)なく、どちらかの割合が多いというだけです。心筋はほとんど半々で特殊ということですね。

 

さて、ここまできてやっと姿勢の話に戻ります。長かったですね。

前回の最後に少し触れましたが、姿勢(アライメント)を安定させるということは、重心を安定させることとだいたい同じです。重心はヘソの下あたりにあります。では、重心を安定させるにはどうすればいいのか。

 

重心のあるヘソあたりの骨は、いわゆる骨盤と呼ばれる、いくつかの骨が集まった塊です。

骨盤は脊柱(背骨)すなわち上半身の土台となり、同時に大腿骨(ふとももの骨)つまり下半身の起点になっています。

そして、ここが重要なのですが、骨盤の背中側は上に背骨という確固たる支柱があるのに対し、腹側は何もありません。骨模型を見れば一目瞭然で、恥骨(性器のある部分)から肋骨の下端までは完全に空洞になっています。

 

これが猫背になりやすい原因だと、私は考えています。支えるものがないから倒れてくる。当然といえば当然です。(ちなみにこの空洞は腹腔と言い、消化器官の主な居場所になります。)

そこで重要になるのがそう、この空洞を支えてくれている腹筋、特にインナーマッスルというわけです。もちろん、腹筋と対になり、背骨が倒れないように支えてくれている背筋も重要です。

さらに、前方の腹筋と後方の背筋に加えて、上部の横隔膜(焼肉で食べてるハラミで、これも筋肉ですよ)と下部の骨盤底筋を合わせてコアマッスルとかコアハウスと呼ぶ方もいらっしゃるようです。

これらを鍛え、安定した重心を維持することが「良い姿勢」というわけですね。

 

前後編に渡って説明してきましたが、ご理解いただけたでしょうか。

私は姿勢をとても重要視しておりまして…というのも、普段の生活で姿勢が関与しない時間がほぼなく、体調が良くなるにも悪くなるにも避けては通れない話題だからです。

 

治療をしても焼け石に水になるか、それとも最小限の治療でどんどん良くなっていくかは、治療の効果ももちろんですが、その後どう過ごすかで全く変わります。ていうかそもそも治療なんか必要ないのが一番いいわけで、身体のことで困ったり悩んだりすることなく、元気に過ごしてもらうことが我々医療サイドの目標であり、願いなのです。

で  す  よ  ね  ?(威圧)

 

というわけで、姿勢は大事だよというお話でした。長い話にお付き合いくださり、ありがとうございました。これに懲りずに今後ともよろしくお願いします。

 

これを読んで恥じるところのあるクッソ下らないナンチャッテ医療者は猛省な(辛辣)